銀座を繋ぐ
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大により、銀座の街もかつてない静けさに包まれました。観光客の姿は消え、営業時間の短縮や休業を余儀なくされる店舗が相次ぎ、これまで当たり前だった人の往来や賑わいが一瞬にして失われました。先の見えない状況の中で、「このまま立ち止まるのではなく、街の力でこの困難を乗り越えたい」という強い思いから立ち上がったのが本プロジェクトです。
和菓子店「木挽町よしや」三代目・斉藤大地の呼び掛けにより始動。単に売上を補うための施策ではなく、銀座という街に根づく商いの精神や、長年育まれてきた店同士の信頼関係を改めて可視化し、未来へつなぐ試みとしてスタートしました。
具体的には、銀座の各店舗が誇る商品を繋いでいく形で紹介。ある店から次の店へと想いを託し、その様子をSNSで発信することで、点在していた魅力を一本の線として結びました。和菓子、料理、工芸、サービス──それぞれ分野は違っても、そこに込められた職人の誇りや理念、歴史、物語を丁寧に掘り下げ、言葉と写真で伝えていきました。
この取り組みは単なる商品紹介にとどまらず、地域や街そのものの価値を再発見する機会にもなりました。普段は意識されにくい店同士の横のつながり、世代を超えた交流、そして支え合う文化。そうした銀座の本質的な強みを、デジタルの力を通して広く発信し、遠方にいる方々にも“街の温度”を届けることを目指しました。
困難な時代だからこそ、人と人、店と店、商品と想いを繋ぐ。
本プロジェクトは、銀座の絆を再確認し、未来へと続く新たな可能性を示す一歩となりました。
も の
繋いだ回数
100繋ぎ
同年8月、参加企業100社達成を記念し、UNIQLO TOKYOでチャリティTシャツ「もの繋ぎUTme!」を発売。銀座ゆかりのアーティスト・高橋信雅が「銀座の街の絵」と「100社ロゴ」をデザインし、多くのメディアに取り上げられて大きな反響を呼びました。12月には、松屋銀座8階イベントスクエアで「もの繋ぎプロジェクト展」を開催。老舗のどら焼きから始まった取り組みがチャリティTシャツへと広がるまでの物語を軸に、参加100社の紹介や物々交換された品々を展示しました。あわせて、銀座名店1000円ガチャ「GINZAでギフトロッカー」を実施し、全参加企業を掲載した特製「銀座もの繋ぎMAP」を来場者に進呈しました。さらに年末には、HYATT CENTRIC GINZA TOKYOのロビーにて、70社以上から寄せられたクリスマスギフトボックスで制作した「銀座もの繋ぎプレゼントツリー」を展示。コロナ禍の中でも、街のつながりを形にした企画を次々と展開しました。
ひ と
繋いだ回数
100繋ぎ
2021年1月、銀座出身の演出家 宮本亞門氏の賛同を得て「銀座ひと繋ぎプロジェクト」をスタート。
「ものからひとへ、想いを繋ぐ」をテーマに、銀座にゆかりのある人同士をつなぎ、そのメッセージを発信しました。さらに2021年2月から2022年3月までの毎週日曜日、音声SNS「Clubhouse」でトーク番組「I Love GINZA!! 銀座好きの集い。」を配信。日本文学研究者 ロバート・キャンベル氏と斉藤大地がモデレーターを務め、銀座の魅力やおすすめスポットを紹介しました。番組で紹介された場所は「みんなで作る銀座MAP」としてGoogle Maps上に公開し、参加型で銀座の情報を広げました。また2021年3月には、松屋銀座 と 銀座木村家 が協力し、「GINZAで繋がるコッペパン」を限定販売。コロナ禍で厳しい状況にあった中、銀座の名店同士が連携して生まれた象徴的なコラボレーションとなりました。人と人を繋ぎ、情報を共有し、店舗同士が協力することで、銀座の魅力を多角的に発信した取り組みです。
2022年4月から、銀座 無印良品で「銀座・ひと繋ぎBar」を開始。無印の栁俊輔マスターと斉藤大地が進行役となり、月に一度ゲストを招いて“銀座”をテーマに語り合う場をつくっています。コロナ禍で分断された人と人とが再び直接出会うことで、新しい視点や関係性が生まれています。
2023年1月には、建築家・元木大輔率いるDDAA LABによる『MUJI for Public Space』展の関連企画として、銀座の路地裏で無声映画を上映する「パブリックシネマ」を開催。これは「銀座・ひと繋ぎBar」での何気ない雑談から生まれた新しい取り組みです。2023年5月に新型コロナウイルスが感染症法上「5類」へ移行した後も活動は継続。
2025年9月には「銀座・ひと繋ぎ」が100回を達成し、プロジェクト全体では累計200繋ぎに到達しました。活動は銀座にとどまらず、「鎌倉」「浅草」「日本橋」など他地域にも広がり、それぞれの街の個性を活かした企画が生まれています。人と人との分断が進んだコロナ禍に対し、繋がりを保ち、育て続けてきた本活動は、「街のワクチン」のような存在として、多くの人に希望を届けています。


